「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ 著 [本(新書/心理・教育)]
すっかり暖かくなってほっとしたのか、かえって頭が働かない、意欲がいまいちです。
少し前なのですが(昨年秋)読んだ本の感想です。(話題だった本で、図書館で予約を入れてから1年1ヶ月後にようやく読めた)
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ 新潮社
少し前なのですが(昨年秋)読んだ本の感想です。(話題だった本で、図書館で予約を入れてから1年1ヶ月後にようやく読めた)
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」 ブレイディみかこ 新潮社
新聞の広告で知って、多様性がテーマのようで興味を持ったのだと思います。
タイトルの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」というのは著者の息子さん(11歳)(英国の中学入学年)が宿題ノートに落書きしていた言葉だそう。
本書は英国在住20年以上の著者の息子さんや友人たちの中学校生活の日常を書いた本です。
この日常(学校)がリアルな英国社会を反映した学校で、いじめや差別、格差は平然と当たり前のようにあって、でも、日本とは違うたくましさがあって、何だか元気が出た。
すごくおもしろかった。(どの話も本当に興味深く、いつになく速いペースで読めた。)
多様性というものが当たり前にあって(彼の友人も両親が違う人種というのは珍しくない)、なので衝突や波風を立てるなんてことは、否応にも体験させられる。考えさせられる。
彼の(以降「彼」と書く)中学の教科に「演劇」と「ライフ・スキル教育」というものがあるそうだ。英国の公立学校教育でシティズンシップ・エデュケーション(「公民教育」「市民教育」などと訳される)の導入が義務付けられているという。
11歳で「エンパシー」なんて言葉を学ぶのがすごい。(「他人の感情や経験などを理解する能力」と書かれている。)
実際、それが一番根本のことで、それがあればいじめや争いなんて大事にならないと思える。
他にも友人と「LGBTQ」について話したりするのがびっくりする。
彼の言葉は大人が考えさせられる。
「自分で誰かの靴を履いてみること」
「友だちだから。君は僕の友だちだからだよ。」(貧困の友だちにリサイクルの制服を渡す時に言った言葉)
「僕は、人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。・・・罰するのが好きなんだ」
彼と祖父(著者の父)がお互いの言葉が全然通じない(英語と日本語で会話)にも関わらず、仲が良いというのは、コミュニケーションについて考えさせられる。
終わりの方に出てきた、英国では上に認められていない理由で子どもが学校を欠席すると、親に罰金が課せられる制度がある(自治体のサイトに明記)、というのに驚いた。「ずる休み」もだめだそうで、貧乏な親はさらに貧困に陥りそうだ。
他国の教育や社会についていろいろ知ることができて、おもしろかったし勉強になりました。
(ちなみにタイトルと表紙絵もすごく良いと思う。)
「子どもたちの階級闘争」 ブレイディみかこ みすず書房
これは上記の本より先に読みました。図書館の予約がいっぱいで1年以上たっても読めそうにないので、同じ著者の別の本をさがして読んでみようと思ったのでした。
上記の本よりかなり重くて、読み応えがありました。
著者は保育士でもある。英国で「平均収入、失業率、疫病率が全国最悪の水準」と言われる地区にある無料の託児所がヴォランティア募集の広告を出していて、なぜか著者は電話をかけ働くことになる。
2015年から2016年にかけての「底辺託児所」での話が書かれる。
英国の階級や政治制度などは詳しくわからないけど、託児所での人たちの話はちょっとショックだった。日本でも子どもの貧困は問題になっているけど、”現実”を知ると、親の虐待や子どもの養育態度など責められなくなってきた。こんな小さい頃から、タイトル通り”闘争”しないといけない子どもがいるのだ。
「理解できないものに触れ合う機会がないと『わからないもの』は『モンスター』になる」という言葉が印象に残った。
英国のアーティストのイラストに「(無知)という液体の入ったフラスコを(恐れ)という炎で温めると(憎悪)という液体が試験管の中に抽出できる」という実験図を描いたものがあるそうで、上手い表現だと思いました。
後半は過去の2008年9月から2年間の、同じ託児所のブログ投稿をまとめたものが書いてある。その変化みたいなものも興味深かった。(結構危なっかしいことも書いてあるが、過去の方が明るい感じがする。)
こちらの本も読んでほしいです。
タイトルの「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」というのは著者の息子さん(11歳)(英国の中学入学年)が宿題ノートに落書きしていた言葉だそう。
本書は英国在住20年以上の著者の息子さんや友人たちの中学校生活の日常を書いた本です。
この日常(学校)がリアルな英国社会を反映した学校で、いじめや差別、格差は平然と当たり前のようにあって、でも、日本とは違うたくましさがあって、何だか元気が出た。
すごくおもしろかった。(どの話も本当に興味深く、いつになく速いペースで読めた。)
多様性というものが当たり前にあって(彼の友人も両親が違う人種というのは珍しくない)、なので衝突や波風を立てるなんてことは、否応にも体験させられる。考えさせられる。
彼の(以降「彼」と書く)中学の教科に「演劇」と「ライフ・スキル教育」というものがあるそうだ。英国の公立学校教育でシティズンシップ・エデュケーション(「公民教育」「市民教育」などと訳される)の導入が義務付けられているという。
11歳で「エンパシー」なんて言葉を学ぶのがすごい。(「他人の感情や経験などを理解する能力」と書かれている。)
実際、それが一番根本のことで、それがあればいじめや争いなんて大事にならないと思える。
他にも友人と「LGBTQ」について話したりするのがびっくりする。
彼の言葉は大人が考えさせられる。
「自分で誰かの靴を履いてみること」
「友だちだから。君は僕の友だちだからだよ。」(貧困の友だちにリサイクルの制服を渡す時に言った言葉)
「僕は、人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。・・・罰するのが好きなんだ」
彼と祖父(著者の父)がお互いの言葉が全然通じない(英語と日本語で会話)にも関わらず、仲が良いというのは、コミュニケーションについて考えさせられる。
終わりの方に出てきた、英国では上に認められていない理由で子どもが学校を欠席すると、親に罰金が課せられる制度がある(自治体のサイトに明記)、というのに驚いた。「ずる休み」もだめだそうで、貧乏な親はさらに貧困に陥りそうだ。
他国の教育や社会についていろいろ知ることができて、おもしろかったし勉強になりました。
(ちなみにタイトルと表紙絵もすごく良いと思う。)
「子どもたちの階級闘争」 ブレイディみかこ みすず書房
子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から
- 作者: ブレイディみかこ
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2017/07/14
- メディア: Kindle版
これは上記の本より先に読みました。図書館の予約がいっぱいで1年以上たっても読めそうにないので、同じ著者の別の本をさがして読んでみようと思ったのでした。
上記の本よりかなり重くて、読み応えがありました。
著者は保育士でもある。英国で「平均収入、失業率、疫病率が全国最悪の水準」と言われる地区にある無料の託児所がヴォランティア募集の広告を出していて、なぜか著者は電話をかけ働くことになる。
2015年から2016年にかけての「底辺託児所」での話が書かれる。
英国の階級や政治制度などは詳しくわからないけど、託児所での人たちの話はちょっとショックだった。日本でも子どもの貧困は問題になっているけど、”現実”を知ると、親の虐待や子どもの養育態度など責められなくなってきた。こんな小さい頃から、タイトル通り”闘争”しないといけない子どもがいるのだ。
「理解できないものに触れ合う機会がないと『わからないもの』は『モンスター』になる」という言葉が印象に残った。
英国のアーティストのイラストに「(無知)という液体の入ったフラスコを(恐れ)という炎で温めると(憎悪)という液体が試験管の中に抽出できる」という実験図を描いたものがあるそうで、上手い表現だと思いました。
後半は過去の2008年9月から2年間の、同じ託児所のブログ投稿をまとめたものが書いてある。その変化みたいなものも興味深かった。(結構危なっかしいことも書いてあるが、過去の方が明るい感じがする。)
こちらの本も読んでほしいです。
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