SSブログ

最近の読書 2021年冬 ―覚え書― [本(小説)]

12月もいつの間にか半ばになってしまいました。
最近の読書。今回は、何年も前から冬になれば読もうと思いながら機会がなかった本で、ようやく読みました。


「ムーミン谷の冬」   トーベ・ヤンソン   山室静 訳   講談社

ムーミン全集[新版]5 ムーミン谷の冬

ムーミン全集[新版]5 ムーミン谷の冬

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2020/02/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

みんなが冬眠している時に、ムーミン一人だけ目を覚ますそうで、読んだ人(子どもの頃)の「すごく怖かった」というような感想が心の隅に残って、興味を持っていました。

一人だけ目を覚ますなんて、”孤独”がテーマなのかと思って、今の心境に合うかとも思ったのです。

大人の自分が読むとそんなに怖くなく、すごくおもしろかった。(以前読んだ「たのしいムーミン一家」よりずっと好き。)
ムーミン一族は11月から4月まで冬眠する。ムーミントロール一人だけ目を覚まして、それっきり眠れなくなった。でも、全くのひとりぼっちというわけではないのだ。(”ちびのミイ”も子りすに起こされる)

ムーミントロールはスナフキンに会いに南へ行く途中、”トゥーティッキ”に会う。トゥーティッキは冬の間、ムーミン一家の水あび小屋に住んでいて、一緒にすごすが、少し気まずくなってしまい、ムーミンは元の家へ帰って寝るという。
でも、トゥーティッキに聞きたいことができて、また外へ出ると、今度はちびのミイに会うのだ。それから、知らない、わけのわからない生きものたちと出会ったり、”事件”も起きたりして、彼らと交流することになる。

物語に出てくる、変わった、得体のしれない生きものが自分には親近感を持ったり、心理や人間関係について考えさせられた。

ムーミンが冬の見慣れない、心細くなるものばかりの中に、自分がなじみがあるものを見たいと思うところ。
「あの中に、ぼくの古いビーチガウンがかかっているのをたしかめられたら、すごくうれしいんだけどな」

「たったひとりでも、ぼくをまえから知っているだれかが、いるといいんだけどなあ ― わけのわからないようなのじゃなくて、ごくふつうのだれかがさ」

「この世界には、夏や秋や春には居場所のないのが、いっぱいいるのよ」

ちびのミイが子りすのお葬式で黒いリボンをつけるのを断ったところ。

元気で陽気なヘムレンさんがやって来た時、わけのわからない生きものよりずっとなじめないものを、ムーミントロールがヘムレンさんに感じたこと。


最後でスノークのおじょうさんが、クロッカスの芽に寒くないようガラスをかぶせようとした時にムーミントロールが言う言葉が心に残ります。
暗くて寒い冬(孤独な現代そのものみたいな)を乗り越えられた物語に、忘れていたことを思い出させてくれました。

児童書だけど、今の時代、大人に読んでほしい、心に響く物語だと思います。



nice!(5)  コメント(2) 
共通テーマ:

nice! 5

コメント 2

yam

明けましておめでとう御座います。
旧年中は何かとお心遣い頂き有り難う御座いました。
本年もかわらぬお付き合いの程、宜しくお願い申し上げます。
by yam (2022-01-01 11:11) 

オリーブ

yamさん、今年もよろしくお願いします。nice!ありがとうございます。チェックを忘れて、大変遅くなり申し訳ありません。
by オリーブ (2022-01-15 12:09) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。