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最近の読書 2020年秋 ―覚え書― [本(小説)]

コロナ自粛で、久しぶりに読書の意欲が戻ってきました。
読みたい本のサイクルもまた古典になっています。


「二都物語」   ディケンズ   光文社古典新訳文庫

ディケンズの「二都物語」を読みました。
この作品は、少し思い入れがあって、長年の宿題を片付けたような気持ちです。


二都物語 上 (古典新訳文庫)

二都物語 上 (古典新訳文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2016/03/11
  • メディア: 文庫


二都物語 (新潮文庫)

二都物語 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/05/28
  • メディア: 文庫


これを読むのは3回目になります。
今回読んだのは光文社の古典新訳文庫だが、新潮文庫版(中野好夫 訳)を持っています。
発行は昭和61年(1986年)で、20代前半頃に読みました。

当時は外国の歴史物に興味があったのだが、読解力のなさなのか、全然読み進められない。
おもしろくない。話の大筋さえ理解できない。章ごとの話にも入れない。読んだものの、物語は全くの空白だった。

2回目は30代だと思うが、先入観もあるのか話がつながっていかなく、ほとんど理解できなかった。終わりだけ記憶にある程度だった。

そして3回目の挑戦。昨年50ページぐらい読んでいたが、話の流れは理解できて(読解力がついた?)、女主人公のルーシーが銀行員のミスタ・ロリーから父親が生きていることを聞かされる(しかも監獄にいた)件に興味を持った。

宝塚やミュージカルでも舞台化されているのだから、ロマンスの要素は当然入っているだろうし、それなりにドラマチックなのだろうと思った。

自分が持っている新潮文庫は、字も小さいし読みにくいので、現代的でわかりやすそうな光文社版を試しに読んでみたら・・・うそみたいに読み進められた。


前置きが長くなりました。
タイトルの二都とはフランスのパリとイギリスのロンドン。
フランス革命前後の時代を舞台に、ある女性の一家と彼女を愛する男の物語です。

父親(医師マネット)と会ったルーシーは、共にイギリスへ行って新しい生活を始める。
それから話は5年後にとんで、ルーシーと父マネットはある裁判の証人として喚問される。被告人は後に夫となるチャールズ・ダーネイ。弁護人はシドニー・カートン。

シドニーが実質主人公なのだが、彼はあまり出てこなくて、半ば忘れてしまっていた。それだけに、あらすじを知らないで読むと、クライマックスの効果は十分かも。

ようやく読めての感想は、一番印象に残ったのは、三人の恋愛模様より、フランス革命の怖さ、民衆(マダム・ドファルジュも)の怖さだった。ネタばれだけど、二人の(結婚までの)恋愛描写がない。シドニーも人物の背景がほとんど描かれていない。

父のマネットの方が、その過去を知りたくて先を読みたくなった。実際マネットの話の方が、個人的に感情移入してしまう。婚礼の後の正気を失った話が心に残っている。
ドファルジュ夫妻やロリー氏、ミス・プロスなど脇役の方が、人物像が浮かんでくる。(ディケンズの小説はそういう傾向?「オリヴァ・ツウィスト」もそんな感じだった。)

人物描写は物足りないところもあるが、激動のフランス革命を舞台にした時代背景と、人物関係の絡みがそれなりにドラマチックで、そこそこおもしろかった。

訳によっては読みやすいことがわかって、難しいからと敬遠している人に古典文学をおすすめしたくなりました。







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