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「ルポ 食が壊れる」 堤未果 著 [本(新書/その他)]

これは新聞広告で見て、タイトルが気になって、読みたかった本でした。
考えさせられたし、勉強にもなって、すごく良かったです。


「ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか?」   堤未果   文春新書

ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか? (文春新書)

ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか? (文春新書)

  • 作者: 堤 未果
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2023/02/20
  • メディア: Kindle版


もともと食にはこだわりみたいなものがあって、特に食品添加物には気をつかいます。
このブログを始めた頃にも書いていますが、原材料名は必ず確認して選びます。
近年、それで自分が食べられる(食べたい)食品が、どんどん選択が狭まって(普段買い物に行っている所など)、悲しく思っていたのです。

ちなみにヨーグルト。自分は原材料に「生乳」が入っているものを選ぶのですが、最初に「乳製品」と書いてある物がほとんどになりました。
好きな和菓子。あんこが外国製の表示がある物が、最近多くなりました。(もとからだったが表示するようになった?和菓子屋さんでしか、国産のあんこで作った物は食べられない?)

前置きが長くなりました。

「はじめに」から少し衝撃を受けた。食のディストピア映画についてふれているが、現実になりつつある内容だった。

第1章は「『人工肉』は地球を救う?」で、また衝撃を受ける。
家畜を育てるのに時間も水も穀物(えさ)も必要だ。人工肉は成分が大豆でコストも安く、作る工程もスピーディ。アメリカの企業が「(100%)人工肉バーガー」を発売して注目されている。
でも、反対派は当然いる。人工肉は植物由来だが、「超加工品」であることに違いがない。添加物がたっぷり使われることになる。

豆どころか直接細胞から作る「培養肉」の研究も世界で進んでいるというのが驚きだった。
培養施設や無菌室など、設備だけで膨大なコストがかかるので、食品としては無理だという研究者もいる。(なのに・・・)

陸上だけでなく、海でも進んでいるという。「遺伝子組み換え技術」でなく「ゲノム編集技術」だそう。満腹感に関わる遺伝子を破壊して、過食症の魚のように、えさを食べ続けて太らせる。通常の1.9倍の速さで成長するという。
日本は、その「ゲノム編集魚」の販売開始を決定した、世界で初めての国だそうだ。(衝撃的)

第3章から第5章は、そういう一部の企業に乗っ取られる農民や農家の構造について書いている。

第6章は「日本の食の未来を切り拓け」で日本の農業に努力されている人たちや地方のことが書かれていて、希望が持てる内容だった。やればできるのだ。
食の主権を手放さないルールを自分たちで作ってしまうことが、最もハードルが低くて実現性も高い。という言葉に救われる。

土壌微生物の多様性という面からの土壌肥沃度は、日本がフランスやニュージーランド、アルゼンチンの中でも群を抜いて高かったというのに驚いた。
日本には土という農業資産があるのだ。

第7章は「世界はまだまだ養える」で各国の農業の可能性ある取り組みについて書かれている。再生型農業で土は蘇るという。
「有機農業」より一歩進んだ「アグロエコロジー」というものがある。生態系と調和した食と農の在り方だそうだ。それによって、土地の生産性を平均8割上昇させたという。
(テクノロジーに頼らなくてもできるのだ)


食の文明史上、大分岐点に立たされていることを知らされる、自分たちで考えなくてはいけないことを考えさせられる本だった。(食を通して「生き方」そのものを考えさせられるところもあった。)
多くの人に読んでほしいです。



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