「発達障害 生きづらさを抱える少数派の『種族』たち」 本田秀夫 著

久しぶりに心理関係の本を読みました。

最近、ユーチューブで心理関係の動画を見るのですが、発達障害に関するものも多く、興味を持ちました。
障害ではないけど、自分にも当てはまるところが少しあったり、同じような心理に共感して、興味を持ったのでした。

検索すると、この本がレビュー数が多く、評価も良さそうなので読んでみました。


「発達障害　生きづらさを抱える少数派の「種族」たち」　　　本田秀夫

発達障害　生きづらさを抱える少数派の「種族」たち (SB新書)

• 作者: 本田 秀夫
• 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
• 発売日: 2018/12/05
• メディア: Kindle版

「はじめに」に「『発達障害とはなにか』『発達障害の人が、ほかの多数の人と違うのは、どんな点にあるのか』を解説した本」とあります。発達障害の人の行動や心理が、いろいろな人のケースを元に詳しく書かれていて、すごくわかりやすかった。

誰が見ても障害だとわかる例でなく、判断しにくい例（自分の職場でも、その傾向があるのでは？と思える人など）を中心にとりあげられているので、実際的で理解しやすかった。

自閉スペクトラム症（ＡＳＤ）の人の対人関係が苦手、こだわりが強い
注意欠如・他動症（ＡＤＨＤ）の人の、うっかりミスが多い、思いつきでしゃべる、などの特性は普通の人でも多少はあるけど、どの程度のものか、強弱があることや、ＡＳＤとＡＤＨＤの重複があること、普通の人との違いがわかりやすい。

重複があるせいで、一方の特性が目立ちにくく、判断が難しくなるそうだ。

「D」（障害）とはいえない「ＡＳ」と「ＡＤＨ」の強弱と重複の図（著者のとらえ方）があって、本書のケースがイメージしやすい。

1から10まで段階があって、10が「ＡＳＤ」「ＡＤＨＤ」という障害
１－３は特性はあるが生活上の問題にはなりにくいケース
4－5はグレーゾーン
６－7は発達障害の診断が出ることもあるケース
８－9は発達障害の診断が出やすい（生活上の問題になりやすい）ケース

これで見ると、「ＡＳ」の特性が5でも「ＡＤＨ」が1なら「問題がない人」になっている。（その逆も）
著者は「ＡＳ」特性が４、「ＡＤＨ」特性が３程度（ご本人の主観）あると思っておられ、生活上の支障になることはないが不便さを感じることはあるそうです。

周囲の人の理解があるか、受け入れてもらえるかでも、特性はあっても、本人の悩みや支障は違ってくる。
自分の（その人の）特性を知って、環境を調整する工夫や方法も詳しく書かれていて、実際的で良かった。

発達の特性を「～が苦手」というより「～よりも～を優先する」という「選好性の偏り」というとらえ方が良かった。心が特定の方向に向かう「志向性」という考え方。

「ふつう」は「多数派」で、発達の特性がある人は「少数派」（自分も救われたところがあった）
副題にある「生きづらさを抱える少数派の「種族」たち」の人を理解するのに役立つ本でした。




「発達障害に気づかない大人たち」　　　星野仁彦　　　祥伝社

発達障害に気づかない大人たち (祥伝社新書 190)

• 作者: 星野仁彦
• 出版社/メーカー: 祥伝社
• 発売日: 2010/01/30
• メディア: 新書

これは上記の本より先に読みました。これもレビュー数が多く、タイトルに興味を持ったのでした。

発達障害の症状や併発する合併症、原因、メカニズムがわかりやすかった。
症状や特徴が参考になった。
発達障害について理解するには良かったが、自分が知りたいことや発見みたいなものは、そんなになかったかな。

ＡＤＨＤの人の些細なことで不機嫌になり、怒りの感情を爆発させても、キレたこと自体覚えていない（まして理由はなおさら）というのは納得できた。
成績優秀な子どもほど見過ごされやすい、というのもわかる気がした。頭はいいのだから、話せばわかってもらえると、つい思ってしまうのだが、どんなに言っても言葉自体が通じないというか忘れてしまうみたいなのは覚えがある。
理解をしていれば、必要以上にイライラしなくても良かったのだ。

「障害」という言葉が誤解や偏見を招くので、著者が「発達アンバランス症候群」という呼び方を提唱しているのは良いと思う。

発達障害があっても理解者がいることと、普通に仕事に行っていても、孤独で理解者がいない人とどちらが幸せなのだろうと思ってしまいました。

発達障害のことから、またいろいろと、人間関係や内面について考えた２冊でした。