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最近の読書 2020年夏 ―覚え書― [本(小説)]

1年ぶりに、小説を読みました。(しかも暑い時期に、暗く重い話で)


「蠅の王」  ウィリアム・ゴールディング   平井正穂 訳

蠅の王 (新潮文庫)

蠅の王 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1975/03/30
  • メディア: 文庫

これは昔持っていて、20代の頃読みました。(多分、古本屋へ売ってしまった。)
内容はほとんど覚えていないが、子どもの頃好きだった「十五少年漂流記」の暗黒版のようで、当時、印象に残っていました。
読む本をさがしていて、名作とかおすすめ本で、ちらほら目に付いて、思い出したのでした。


今回読んでみて、前半は正直、あまり読み進められなかった。
人物の背景があまり描かれていないし、事件らしいものもなく、島の自然描写や生活に陰鬱な気持ちになった。
でも、後半は話が動き始めて、小さいエピソードだと思っていたものが、つながって暴走していく感じが、ドキドキした。
最後40ページぐらいの、手に汗握るような疾走感に、久しぶりに小説を読む楽しみを思い出しました。

読むまでは、いろいろあっても、陰謀、策略系(?)みたいなことを想像していたが、そういう頭を使う理性さえ吹っ飛んでしまう様が怖かった。(終わりの方は、個人の名前や人間ではなく、”蛮人”と表現されていたのがさらに恐怖を誘った。)

ラーフ(主人公)が「何が災いのもとなんだろうか?」と尋ねた時、一人を名指ししたのは、現代のいじめと変わらないように思えた。
素顔を隠す隈どりが、人間をいわば野蛮性へといかに開放するものであるか、という言葉も、現代の心や精神性を表しているように思えました。

小説は未来の設定(?)だが、現実の世界(精神性)が小説に追いついたようで、また少し怖くなりました。


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