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最近の読書 2019年 絵本 その4 [本(絵本)]

読書の秋なのですが、最近、意欲が落ちていて、また絵本です。
大型台風が来たり、近年毎年のように大雨の被害が出て、地球環境が心配になります。
先月「気候変動サミット」が開かれましたが、偶然にも同じ頃に、連想するような絵本を読んだので書いておきます。


以前、「ぼくはくまのままでいたかったのに・・・」という絵本を読みましたが、同じ作者(挿絵も)です。
イエルク・シュタイナーさん、イエルク・ミュラーさんという著者で、3冊とも、文明批判や人間について考えさせられるようで、心に残ります。


「ふたつの島」   イエルク・シュタイナー ぶん  イエルク・ミュラー え   おおしまかおり やく

ふたつの島

ふたつの島

  • 作者: イエルク・シュタイナー
  • 出版社/メーカー: ほるぷ出版
  • 発売日: 1982/10
  • メディア: 単行本


海にうかぶ二つの島があった。
大きい島には王がいて、金持ちと貧乏人がいた。
小さい島には貧富の差がなく、生きることを楽しむ人がいた。
王は大きい島をもっと立派にしようと堤防を築こうとする。土や石が足りないと、小さい島のものまで採っていこうとする。
そのうち金塊が見つかり、大きい島の人たちは、自分の仕事を捨て、金探しにとりつかれる。

世界の歴史を、現代の縮図を見ているような話だった。
王が少しもじっとしていられなくなく、短気になったり、大きい島の人たちが金のことしか頭にない、なんて、まさに多くの現代人ではないか。
お金や目先の損得、自分の欲望(自国の利益)でしか物事を考えられない。

”赤い太陽の石”に刻まれた「命のおきてにそむく」という言葉が残る。
王の言葉では「命のおきて」は「秩序と勤勉」というのも考えさせられた。

1982年発行で、37年たって、物語というより、現実に近くなった感じで、心に迫ってきます。
大判で、細密で臨場感ある絵も見応えがあって、話にぴったり。
今の時代に読んでほしい絵本です。


「うさぎの島」   イエルク・シュタイナー ぶん  イエルク・ミュラー え   おおしまかおり やく

うさぎの島 (ほるぷ海外秀作絵本)

うさぎの島 (ほるぷ海外秀作絵本)

  • 作者: イエルク シュタイナー
  • 出版社/メーカー: ほるぷ出版
  • 発売日: 1984/12/15
  • メディア: 大型本

うさぎ工場に年とった灰色うさぎがいた。工場ぐらしがあまりにも長すぎて、外の世界のことをすっかり忘れていた。
ある日、小さな茶色うさぎが工場に送り込まれる。怖くてふるえている茶色うさぎを灰色うさぎは外へ連れ出すが・・・


怖い話だった。
うさぎ工場のうさぎは人間とだぶった。本来の人間の身体(感覚)や心をどんどん失っていくようで・・・
灰色うさぎは外に出られたのに、外の世界へ適応できなくなっていて、結局元の工場へ戻る。
(行く末は食肉にされるのだ)

ちょっと無機質でリアルな絵が、怖さもあって、また話にぴったりだった。

感覚がなくなっていく(むしろ考えない?)というのは自分の身近なことでも思う。
職場でエアコンの他に扇風機も付けているが、10月でも、夏と同じ強風で付けたい人がいる。
付けないと耐えられない暑さなのか?
着替えのロッカー室が別にあるのだが、居るのはほんの数分なのに、今でもエアコンが付いている。

昼休みに、食後のお茶(お菓子も)をするが(自分は抜けた)、毎日紙コップを使う。
他のグループでも”マイカップ”を持って来ている人はいたが、最近は見かけない。

何より、人ではなく、ケータイ(今はスマートフォン)ばかり見ている現代の風景は変でおかしいと思ってしまうのだが・・・

灰色うさぎのような生活が、現代はむしろ普通になっていることを考えさせられる。
本来子どもも茶色うさぎになりたいし、その方が幸せなのに、大人がわざわざ灰色うさぎの方が幸せだと教えて、生きていけない(生きづらくする)ようにしているのが、今の時代ではと思ってしまった。

2冊とも読み応えがあって、大人に(子どもにも)読んでほしいと思いました。



















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