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「格差と貧困のないデンマーク」 千葉忠夫 著 [本(新書/その他)]

以前、「フィンランド」「スウェーデン」の本を読みましたが、今回は同じ北欧の「デンマーク」です。
タイトルに興味を持ちました。


格差と貧困のないデンマーク―世界一幸福な国の人づくり (PHP新書)

格差と貧困のないデンマーク―世界一幸福な国の人づくり (PHP新書)

  • 作者: 千葉 忠夫
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2011/02/01
  • メディア: 単行本


格差と貧困がない(少ない)のは、副タイトルにあるように「人をつくる」教育がされているからだと思いました。

消費税25%の社会福祉国家。失業しても生活できるシステム。(どうしても仕事が続かない人、働き続けることができない人なども「社会的障がい者」として、フォローが厚いのだそうだ)。

学歴より実力主義。子どもの頃から「弱者を助ける」「実力を身につける」という教育がしっかりされている。
教育費は無料。(幼稚園など就学前教育は有料)
国民学校10年生まである。(1年生は日本の小学1年生と同等)
「義務教育」というより「教育の義務」という。(実際にはほとんど通うが)学校に通わなくても(申請すれば)親が教育したければそれでもいいという。

人間にはもともと違いがあることを教えられていて、差があっても自分のために、もう一年進級を遅らせるというのも普通だそうだ。教育の義務期間中は他人と競わせたりせず、自分の能力を発展させる。ライバルは自分なので劣等感を感じることもない。(テストは子どもの知識を確認するためのものであって、優劣をつけるためのものでない)。

音楽や美術、体育といった本人の持って生まれた資質によって結果が影響されるものは、個々の評価をしない。(体育はスポーツを楽しむ時間。運動会もないというのが驚いた)。

14歳頃から、自分のなりたい職業について真剣に考えるし、何度も話し合う。
高校にはスクールアドバイザーという人もいて、うまくいかなくても別の進路をさがす、やり直すというのも可能。職業に就いても転職しやすく、専門知識をしっかり学べる。生涯学び続けられるシステムが確立している。

第5章「意志表示と自己決定の学び方」と第6章「親が家庭でするべき教育」は日本の教育の問題を大いに考えさせられた。
保育園や幼稚園などの就学前教育(遊び)の話が残った。厳しい環境で生きる植物は生き抜くために強いられて形を変える。人間も同じで無理をさせたらまっすぐには育たないというのに共感した。
幼稚園に時間割がない理由は自己決定を奪うから、というのも考えさせられた。(日本では「遊び」さえ、「決められた遊び」に思える)

日本の過保護、過剰サービスがあたりまえ、というか普通になってしまっていることを考え直す必要があるのではと思いました。

デンマークと日本で社会システムは違うが、見習うところが多いように思いました。(日本は変な常識が普通になっているように思う。自分の子ども時代は、それでも「心」や「話」が通じていたと思うのだが)

「デンマーク」という国から日本の問題を大いに考えさせられました。
多くの人に読んでほしいです。


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