「感情」で動くこと その２ ―３０歳―

自分の意識が少し変わる出来事がありました。阪神大震災です。
自分は被災したわけではありません。でも同じ県内で、かつて経験したことがない揺れでした。
初めて「死」というものを意識しました。
自分だって明日にも命を失うかもしれないのだ。地震でなくても不慮の事故とか、そんなことに遭わない保証なんてどこにもないということを。

今までずっとつらいことの方が多かった自分は、楽なことや楽しいことをしようと思いました。
ちょうど時間もあるのです。
今までは、何もしないで過ごすなんてもったいない、という感じでしたが、しんどかったりやることがなければ何もしなかったり、好きなことをしたり、感情のままに動くことを意識しました。

失恋のショックで「結婚」自体どうでもよくなっていました。それが目標のようなところがあったのですが、それがなくなったことで「人に好かれないといけない」という気持ちもなくなってしまいました。
「自分の人生は終わった」「どうでもいい」という投げやりな開き直った気持ちが、自分の場合は良い方に作用したように思います。
「こんなのではだめだ」「～しないといけない」という強迫観念が薄れてきました。

そんな中、働く気はまだなかったのですが、リハビリ（？）のため、職安に求人を見に行くようになりました。
声が出ない、話せないと思っていたのに、どうでもいいと思ったら、自然に言葉が出ていました。
前にちゃんと手続き出来たことに少し自信が持てて、話せることを試したかった感じでした。
そうして、ある日、気まぐれに応募したら採用されてしまったのでした。