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最近の読書 2012年夏 ―覚え書― [本(小説)]

今年に入ってからほとんど本を読んでいませんが、また覚え書きで感想を書いておこうと思います。 


「子どもの隣り」   灰谷健次郎   新潮文庫
   

持っている本です。
宝塚へ行く電車の中で(読む本がなかったので)読みました。
20年以上前のもので、内容はほとんど覚えていなく、初読に近いです。
子どもを描いた四話の短編集です。良かったです。
子どもの本質を見抜く目が鋭く、忘れていたことを気づかされる感じです。

子どもの隣り (角川文庫)

子どもの隣り (角川文庫)

  • 作者: 灰谷 健次郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1998/04
  • メディア: 文庫


「まぼろしの白馬」   エリザベス・グージ   岩波少年文庫   

これは昨年、童話の「バラとゆびわ」を読んだ時、似た系統のおすすめ本として検索で知った本です。こちらの方が好みでした。

19世紀イギリスのウェストカントリーが舞台で、風景描写が美しいです。
お城があって、森があって、花に馬に、丘を通るトンネル、バラ園、洞窟の家など、絵になる。

両親を亡くし、孤児になったマリアがベンジャミン・メリウェザー卿に引き取られ、家庭教師と館に向かう所から物語が始まります。
古い館で、城のてっぺんがマリアの部屋ですが、ここでもその描写だけでわくわくします。
天井の彫刻、刺繍の入ったカーテン、当時の椅子や燭台などの調度品、暖炉、ハープシコード。
こういう物はやっぱり好きです。

メリウェザー家は太陽系と月系の人間がいて、両方が愛し合っていると幸福が続くという言い伝えがあります。話のテーマは"仲直り"でしょうか。

マリアはある日"黒い男"に出会います。
牧師から彼らとマリアの先祖の話を聞き、物語が動いていきます。
この先祖の話がロマンチックでおもしろく、これだけで一つの物語が出来そうです。
エピソードや伝説がいっぱいで、それが過去だけのものでなく現在にもつながっているのが良い。
推理ものみたいな謎ときの楽しさがあります。(ほんの二、三行の文でも重要なものがあって、覚えていないとわからなくなったりする)
最後の大団円への収束が見事です。

黒い男たちと交渉する話が良いです。現実的な教訓が少し入っていて読ませます。
(現代の国々を思い出しました。皆、こうだったらな、なんて)

ファンタジーとリアルさが上手く溶け込んで、"物語"満載の本です。

後で調べると映画にもなっていてびっくりです。でも、イメージが壊れそうで、あまり観たいとは思いません。(アニメだったら興味あるけど)

まぼろしの白馬 (岩波少年文庫)

まぼろしの白馬 (岩波少年文庫)

  • 作者: エリザベス グージ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2007/01/16
  • メディア: 単行本




「娘は娘」   アガサ・クリスティー   ハヤカワ文庫
   

持っている本を整理しようと思って、読みかけました。
これも20代の時読んで、わりと良かった記憶はあるのですが、内容を覚えていないのです。
クリスティーですが、ミステリーではありません。普通の小説も何作かあるようで、これは愛情があった母娘が母の再婚話をきっかけに、関係が変わっていく話です。

最初はどういう展開になるのかわからず、少し退屈だったのですが、娘が旅行から帰ってきて、母親の再婚相手と会ってからおもしろくなってきました。
二人が反発してけんかする場面が見物です。

会話が多くて、それに引き込まれました。
人物描写が良く、心理がよく出ている。(訳が良いのかな)
最後に、娘が母の本音を引き出して、お互い言い合う場面が見どころです。
(ちょうど、自分も母とけんかした時で、余計リアルに迫ってきました)

母が変わってしまった所や相談相手の友人の本質的な助言など、心理小説としても読み応えがありました。
「人生の悩みごとの半分は、自分を本当の自分よりも善良な、立派な人間だと思いこもうとすることからくるのよ」 (P.269)  という言葉が印象に残りました。

(同じ著者の「春にして君を離れ」も人間の本質的な心理に、昔、ショックを受けました)

娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

娘は娘 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 作者: アガサ・クリスティー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2004/08/18
  • メディア: 文庫


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