生きる土台 (扉が開く) ―30歳― [ひきこもり]
少し間があきましたが、また"ひきこもり"の続きです。
職業訓練で自分の言葉で初めて話せました。講座が終わってからも、休みの日に皆で遊びに行ったりして、少し付き合いもありました。
その内の一人とは、今まで聞いたことがない話や意見を言ってもらったりして、ガチガチに固まった自分がほぐれていくようでした。
その後また、仕事の面接を何社か受けました。
思ったよりざっくばらんな雰囲気で、ここでも気負いなく話せたのです。
仕事を見つけないといけないというせっぱつまった気持ちがなく、力が抜けていたからだと思います。
そうして辞めて一年もたたない内に、次の職場が決まったのでした。
時間は7時間でパート扱いだったと思います。(時間が)少し長いですが、以前と同じ事務系で、でも雑用的で楽そうに思えたのです。
職場の雰囲気も全然違って、シーンとして自分の電話の声を皆が聞いているという緊張感やピリピリしたものはなく、あちこちで声が上がって活気がありました。
人数が多いので、名前も知らない人がいるし、新人が入ってきても自分の仕事に手一杯であまり気にとめない雰囲気でした。
仲が良く、結束しないといけないみたいな感じで、社員旅行も強制、昼休みも外へ出てはいけなくお弁当で、と決められていた前の(12年いた)職場と比べると、自由でした。
仕事さえしていれば何も言われません。(陰では知りませんが)
言葉づかいを注意されることもありません。
ストレスが半分以下になったように思います。
自然に声が出ていました。
話をするって、声を出すってこういうことなんだ、こんなに気持ちがいいんだと初めて知りました。
ずっと話せるようになりたいと、十年以上努力してだめだったのに、ほとんど努力もなしに一年もたたない内に、出来るようになっていました。
一般的にはまだまだですが、自分の中で「せめてこれぐらい話せたら楽なのに」と思っていたことをクリアしていたのです。
人と一瞬ふれあったこと、失恋したこと、演技していたこと、読んだ本や漫画で思ったこと。
今までの経験やいろいろな断片はあっても、形にならなかったものが、ジグソーパズルの一片が見つかって(つながって)一気に絵が完成したみたいな気持ちでした。
ようやく自分の土台が出来つつあるように思えました。
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