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最近の読書 2018年夏 ―覚え書― [本(小説)]

まだまだ、暑い日が続きます。

久しぶりの読書です。しかも自分には珍しい本を読みました。
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の作品です。
怖い話は苦手なのですが、日本の時代物はわりと興味があるし、時期的にも合うので、児童書(岩波少年文庫版)なら大丈夫かと思い読んでみました。

「雪女 夏の日の夢」   ラフカディオ・ハーン 作   脇明子 訳   岩波少年文庫

雪女 夏の日の夢 (岩波少年文庫 (563))

雪女 夏の日の夢 (岩波少年文庫 (563))

  • 作者: ラフカディオ・ハーン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2003/03/18
  • メディア: 単行本


12編の物語と4編のエッセイが収められている。

有名な「耳なし芳一の話」「雪女」など、ちゃんと読んだらすごく味わい深かった。
日本人なのに日本を知らなかった気持ちにさせられた。

一遍は20ページもない話ばかりだが、情景が浮かんで空気まで感じられるようだ。
怪奇、不思議な物語性も十分で、展開が予想できない。

「弁天さまの情け」「果心居士の話」「梅津忠兵衛の話」「伊藤則資の話」など、おもしろい。
題材が豊富で、映画や舞台など、こういう日本物を作らないのはもったいないと思ってしまいました。

エッセイも良い。
「日本をここまで愛してくれてありがとう」という感じです。(日本人なのに知らないことが恥ずかしくなってきた)

「盆踊り」は一部の抄訳だが、「盆踊り」ひとつにここまで書けるなんて、(現代と違うが)感性に感動してしまう。
盆踊りが「死者の祭りの踊り」ということ自体、ほとんど意識したことなんてなかった。

(訳文だが)
踊り手はもちろん、見物人さえ、ただのひとこともしゃべらない。(という)
想像を絶する、夢幻のような、ぼうぜんと見守るしかない踊りだった。(という)
この人たちは歩きながら夢を見て、夢のなかで空を飛んでいるのだ。

幻をゆらゆらと織りなす手、調子をそろえてすべる足、そして何よりあの不思議な袖―

ハーンさんの見た盆踊りを体験したいと思ってしまいました。

「夏の日の夢」もすごく良い。
旅行中、旅館《ウラシマ》屋で休んだ後、人力車で熊本へ行く道中のエッセイ。
この宿がパラダイスのようで、そこから同じ名の昔話「浦島太郎」に思いが行く。

浦島を哀れに思うのは正しいのか、といった人生論など、ここでもその感性に刺激されることばかり。(赤ん坊の声から「さよなら」という言葉の発想が出てくるなんて)

現代では失われた日本(感性)を発見できて良かったです。


後で、本格的な「小泉八雲集」も借りました。

「小泉八雲集」   上田和夫 訳   新潮文庫

小泉八雲集 (新潮文庫)

小泉八雲集 (新潮文庫)

  • 作者: 小泉 八雲
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1975/03/18
  • メディア: 文庫

こちらは出典と原語(英語)のタイトルが書かれている。

まだ途中だが、同じ話で訳を比べるとおもしろい。
こちらの方が、話としては読みやすいかな。でも、情緒的なものは岩波版の方が良い部分もある。

「守られた約束」が印象に残った。「破られた約束」も対照的でおもしろい。(やっぱりちょっと怖いが)
エッセイの「日本人の微笑」が興味深く、日本という国や国民性まで考えさせられる。

こうした自由と平等の原理を日本で採用するならば、わが国の良風美俗はたちどころにそこなわれ、国民の気風を冷酷無情なものとし、ついには民衆に不幸をもたらす要因となるだろう。

なんて一文があるが、まさに現代じゃないかと思えてしまう。

今さらですが、小泉八雲の作品を読めて良かったです。























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