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「教育という病」 内田良 著 [本(新書/心理・教育)]

宝塚関係の記事が続いたので、(少し前に読んだが)ちょっと考えるような本を。


サブタイトルは「子どもと先生を苦しめる『教育リスク』」
タイトルにひかれて借りました。

教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」 (光文社新書)

教育という病 子どもと先生を苦しめる「教育リスク」 (光文社新書)

  • 作者: 内田 良
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2015/06/17
  • メディア: 新書


(タイトルから)心理学的な内容かと思っていましたが、現代の学校教育に潜んでいるリスクを検証しています。
自分が読みたいものと少し違っていましたが、教育界自体が「変だ」「おかしい」と思ってしまうところがある、考えさせられる本でした。

内容は章タイトルから。

第1章 巨大化する組体操
第2章 「2分の1成人式」と家族幻想
第3章 運動部活動における「体罰」と「事故」
第4章 部活動顧問の過重負担
第5章 柔道界が動いた

教育とは「善きもの」という視点から、暴走して「感動」や「子どものため」というという教育目標が、そこに潜む多大なリスクを見えなくさせる。こういう(教育の負の面を提言した)本があるのは良いと思いました。

最初の章「組体操」については、自分も以前、読んだことがあるが、巨大なものは三階ぐらいの高さになるというので、驚いてしまいました。
サーカスの曲芸ならまだしも、大人でも一番上に乗れる?と思うのに、それを子どもが?
しかも学校だと強制的にやらされる。信じられなかった。

本書で、学校で教員たちがやっている(教えている、推奨している)なんて、運動会でそれを大人が感動して見ているなんて、さらに信じられなかった。
(組体操全てを否定するわけではないが、高さ制限や危険性は考えるべきだと思う)。

「二分の一成人式」というのは、聞いたことはあるが、こんなことをわざわざ学校でやるのかと思った。事情がある家庭の子どもにはつらいと思う。
「親に迎合したイベントにすぎない」という言葉があったが、自分もそうだと思う。
実際、親を教育しようとする意図が含まれているそうで、教育しすぎ(?)なのが本質から離れているように思う。

部活動中の死亡事故についてはショックだった。偶発的な事故というよりは防げるものばかりで、同じことが繰り返され、放置されてきたそうだ。しかも教員は賠償責任を問われないなんて。

最後の章では、問題提起や啓発だけでなく、安全対策の取り組みで、柔道の死亡事故が三年間でゼロになったことが書いてあったのは良かった。(海外では死亡事故はごくわずかだそうで、驚きだ)。

データを用いての説明は、わかりやすく説得力があった。

教育の世界にも、「感動」や「勝利」といった目先の物ばかり追求することから起こる問題のように読んでしまいました。
子どもよりも保護者の目を気にする学校(学校がサービス化しているみたいな)や巨大ピラミッドなど、名誉欲(?)のための教育に思えてしまう。

それが子どもにも伝わって、親や友だちの目を気にしてふるまう子どもや頑張りすぎる子ども(これが不登校につながる一因にもなっているのでは?)など、他の問題にも広がっているように思えてしまいました。




 


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