「日本はスウェーデンになるべきか」 高岡望 著 [本(新書/その他)]
前にフィンランドについての本を読みましたが、今回はスウェーデンです。
スウェーデンで思い出すのは、以前新聞の投稿欄で読んだ、日本で言われるほど生活は良いものではないようなことでした。("はじめに"に、同じことが書いてあった)。
もう一つは、何年か前、選挙の関連で調べていた時、スウェーデンは若者の犯罪率がアメリカより多いようなことでした。(記憶があいまいだが)。
理由は早い時期から自立させられるせいだと。(これは本書ではわからなかった)。
少し専門的で、社会保障や高い競争力、外交の章は難しいところもあったが、ポイントを整理して書かれているので、何とか読めました。
同じ北欧でフィンランドの隣国なので似たイメージを持っていたが、本質的なものが違うことに驚いた。フィンランドは自由で柔軟性があって、個人主義だけど、スウェーデンは規則をよく守って連帯性がある。
著者は「スウェーデン的生き方」を可能にしている四つのポイントとして「自立した強い個人」「規則に基づく組織力」「透明性」「連帯」を挙げる。
それらは国の政策や外交でいかんなく発揮されているのが頷けました。
日本人もルールを守る方だと思っていたが、スウェーデン人にはカルチャーショックを受けました。
自立した強い個人というのは、フィンランドもそうだが、少しニュアンスが違って、より厳しい感じがする。スウェーデン人と比べると、日本人は甘えすぎ(甘やかされすぎ)に思えてしまった。
スウェーデン人は自分で出来ることは自分でするので(少し我慢する分)、本当に助けがいる所に(時に)お金が回せる感じだ。しかも国内だけではなく、対外援助も多い。
国民総所得あたりのODA(政府開発援助)は日本やアメリカの5倍以上だという。(09年)
仕事や社会保障のしくみはフィンランドと似ていて、仕事は解雇されやすい分、手厚い保障がある。透明性があって、国民にわかりやすく伝えようという姿勢や勤労意欲を高めるようなものになっている。
スウェーデンは公助型の社会で日本は共助型、という違いはあるが、スウェーデンから学ぶところは多いと思いました。
タイトルの「日本はスウェーデンになるべきか」というのは、(本書を読む限り)個人的には賛成率は2割ぐらいでしょうか。
"おわりに"にもあったが、国や社会のかたちは、様々な要素が複雑に絡み合ってできあがっていて、都合の良いつまみ食いは中長期的にはできないもの、という言葉に共感します。
男女平等の考え方には自分のような古い人間には少し違和感がありました。(そこまでしなくても、みたいな。日本もそういうのが進んでいますが、何だか違う方向のものに思えて窒息感みたいなものがあります)。
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