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小説「キャンディ・キャンディ FINAL STORY」 その2 [本(小説)]

小説 「キャンディ・キャンディ FINAL STORY」
今回は"あのひと"について書こうと思います。

小説キャンディ・キャンディ FINALSTORY (下)

小説キャンディ・キャンディ FINALSTORY (下)

  • 作者: 名木田恵子
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/11/01
  • メディア: 単行本

(以下、ネタばれあり)

私は"あのひと"はテリィだと思いました。
上巻でも思ったのですが、見えてきたのは、キャンディがセントポール学院を飛び出して、アメリカへ渡る旅で出会った人との手紙のやりとりからでした。
スージーとは今でも交流があること。

キャンディの人生は平坦でなく、つらいことがあっても、いつも愛に彩られていた。
旅の途中で、少し出会った人たちにも手紙を書いている。
キャンディは孤児だけど、ポニー先生、レイン先生という母親がいる。
姉妹のようなアニー、友だちのステア、アーチ―、パティ、保護者で恩人のアルバートさんがいる。
(ニールのことさえ、大おじさまと会わせてくれるきっかけになったと感謝していた。下巻 P.244)
愛に恵まれている。それはキャンディ自身が愛を知っているから、求めているからとも言える。

そんな中で、キャンディが一番愛する人(恋人や夫婦といった恋愛の意味での)が側にいないというのが不自然な気がする。
それはやっぱりテリィしかいない。

テリィと別れてからもキャンディのテリィに対する気持ちは色あせていない。
エレノア・ベーカーからのテリィの舞台の招待をキャンディは断っている。

テリィの舞台は観たい・・・。でも、観たくないのです。
観ればきっと、会いたくなります。会って、一言でも話したくなります。
 (下巻 P.273)

出さなかったテリィへの手紙には

あなたと向き合うと、わたしの心は熟れた甘酸っぱい杏の実のようになってしまうの。かすかな風が吹いただけで、地に落下してしまいそうで呼吸さえできません。 (下巻 P.274) とある。

今のキャンディも、テリィの新聞の写真を見て、涙で濡らしたくなく離すのだけど、
テリィが遠ざかっていくようで、あわてて抱きしめた(下巻 P.186) とある。
「抱きしめた」というのにキャンディの思いが伝わってきます。

一方、テリィはキャンディに手紙を出している。
テリィのキャンディへの気持ちも色あせていない。

・・・あれから一年たった(これは「スザナの死から」という意味にしか思えない)。

―ぼくは何も変わっていない。
この手紙が届くかどうかわからないが、どうしてもそれだけは伝えておきたかった(下巻 P.283)

仮に手紙が届かなかったにしても、何もしないテリィとはどうしても思えない。
そして、テリィの想いを受け取らないキャンディとはどうしても思えない。
(別れる前のテリィの慈善公演も夜勤をさぼって観に行ったキャンディ。思い悩むより実をとるキャンディです)。

二人の間にはスザナという重い過去があるけど、テリィはスザナに十分尽くしたし、それから解放された時(言葉が適切でないかもしれないけど)、二人が一緒にいるのは自然だと思う。
元の愛とは違うものであっても、キャンディなら(テリィも)乗り越えられる。
今までつらいことを乗り越えてきたキャンディが、一番愛する人にそうしないのは不自然すぎる。


今もわたしが求めているのは、ほんのささやかなこと。愛するひとと生きていくこと―(上巻 P.224)

今までつらい別れはいくつもあった。
けれど、生きてさえいればまた巡り会うことができるのだ。
だから、わたしはもう、別れを恐れない
(上巻 P.232)

テリィと暮らしているから出てくる言葉だと思うのです。

最後の場面もときめきと家庭のぬくもりにあふれている。
「おかえりなさい!」
わたしはこの言葉が言える幸せに声をつまらせながら―

"あのひと"についての具体的な言葉もあります。
今は― なによりいつもわたしが近くにいることを望んでいるあのひとのそばをわたしも離れたくない(上巻 P.233)

アルバートさんだったら、こんなに独占欲が強くないと思うし、キャンディ自身も離れたくない人です。

アメリカに戻るまでの旅で起こった出来事を話したとき、はじめは大笑いしてわたしの話を聞いていたあのひとは― (下巻 P.148)

これがアルバートさんだったら、ずっと前に(それこそ、アルバートさんの記憶がない頃にも)話していると思うのです。
キャンディの、(出さなかった)テリィへの手紙にもあります。

テリィ、あなたを追ってイギリスから帰ってきたときの冒険談、いつかゆっくり話したいと―
(下巻 P.275)
ふいに真剣な表情になるとわたしをきつく抱きしめた。というのもテリィの行動だと思う。
アルバートさんにはそぐわない。


次はキャンディとアルバートさんの関係について書こうと思います。


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コメント 2

ゆーこ

初めましてm(_ _)m
世間一般からかなり遅れて、この夏からキャンディキャンディにはまっている、アラフォー女子です(^^)

オリーブさんのこちらの考察に、とても共感し…嬉しくて…思わずおじゃましました!
私もあのひとはテリィだと思ってます…というか、願ってます(^^;)
色々検索していると、アルバートさん派が多いですよね(>.<)アルバートさんも、そりゃあ素敵なのですが…キャンディが幸せなら彼でもいいのですが……
でもやっぱり。。。

個人的に、"シェークスピア全集"というワードが、単純に私の中でテリィと決定づけられました(^^;)
それと、"生きていればまためぐりあうことができる"というキャンディの言葉。
また、ステアのオルゴールを直したこと。…学院を去る時、握手したステアに「君の手は繊細だ…」と言われていたのをすぐ思い出しました。
そして、独占欲の強さを表すあのひと。…二度もつらい別れを経験したふたり……もうどんなことがあっても、離れないと私も思います(^^)

手紙の時系列が複雑で、惑わされますが(~。~;)、オリーブさんの考察読んで安心し、テリィと幸せに暮らしてるキャンディを想像し、羨ましく思ってる今日この頃です(^^*)
ありがとうございました。

by ゆーこ (2013-12-17 10:00) 

オリーブ

ゆーこさん、コメントありがとうございます。
同じ思いの方がおられてうれしいです。

アルバートさん派が多いのですか?(他のブログはあまり見ていないので)。
アルバートさんだと、私の場合、キャンディよりテリィがかわいそうすぎて、あまり想像できないです。

漫画を読んでいた当時、アルバートさんは自分にとってずっと年上の人で(キャンディにとっては恩人)、テリィにばかり思い入れがあって、今でもあまり変わらず、キャンディも同じ気持ちの可能性はありうるとも思ったのです。

ステアのオルゴールを直したことは、私もテリィを想像しました。
by オリーブ (2013-12-18 20:03) 

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