「自分の言葉」で話す ―30歳― [ひきこもり]
もう少し休みたい気持ちもありましたが、話せるかもしれない自分を試したい気持ちと、やっぱりこのまま取り残される不安から、また仕事に行くようになりました。
個人経営のような小さな会社で、結構いい加減な所もあり、前より楽でした。
無理をしないように、なるべく自然体でいるように意識しましたが、そうするとやっぱり、雰囲気が暗いからか、社長夫人に気に入られず、2ヶ月たたないうちに辞めさせられてしまいました。
以前の自分なら、ショックで立ち直れなかったかもしれませんが、たとえ2ヶ月だけでも"自分の力で得た仕事"に実感が持てて、それほど落ち込みませんでした。
リハビリ段階(?)ではこんなものだろうと思うようにしました。
その後、職安で3ヶ月の職業訓練(簿記とワープロ)というものに通うようになりました。
躊躇していたのか、気づくのが遅かったのか、定員オーバーで、その後、空きが出たので行かないかと電話がかかってきたのです。うれしかったのを覚えています。
役に立つかわからないけど、元々勉強は好きだったし「やってみたい」という"感情"でまた動くことにしたのでした。
3ヶ月だけという期間付きなので、対人関係もその場限りという気楽さからか、ここでも自然体でいることを意識しました。
気が付くと、先生にも質問していたのです。皆の前で。
開き直ったのか「怖いもの知らず」のようでした。(小学一、二年生の頃は家での反動からか、学校ではのびのびしていて、授業中も自分から挙手していたことを思い出しました)
休み時間も勉強していると「教えてほしい」みたいに話しかけてくれる人もいました。
そうして、5、6人のグループの中にいつの間にか入っていました。
一人の人が、勉強だけでなく、今まで聞いたことがないようなプライベートなことも本音で話す人で、自分もそれに合わせて話しているうちに、どんどん言葉が出てきました。
気がつくと「あれ?私、話してる」と思ったのでした。
一般的には全然ですが、初めて「自分の言葉」で話していると思えたのです。
やっぱりまだ無口でおとなしくても、他人に「受け入れてもらえた」という実感が、これも初めて持てた気がしました。
いろいろな人がいて、不真面目な人もいたり、噂話や皆の会話を聞いて、"普通の"人間関係がわかった感じでした。
たった3ヶ月だけど、家族や前の職場での10年より濃い日々に思えました。
xml_xslさん、nice! ありがとうございます。
by オリーブ (2011-12-16 20:24)