「ついていけない」内面 ―２０歳前後―

最初の記事「ひきこもり―自分の場合―」から、過去にさかのぼって、長々と書いてきました。

人間関係というものが、ほとんどわからないまま社会に出てしまいました。
例えて言うなら、車に乗れるようになるのと似ていると思います。
昔のことで忘れましたが、交通規則や理論的な勉強の後、実際の車で操作方法を学んで、教習所の中で運転して、路上で教官付き添いで走ります。
自分の場合は、机上の勉強と、ブレーキとアクセルの操作方法だけ、という感じかもしれません。
これで、実際に道路は怖くて走れません。一人だけ遅いスピードで走るなんて、迷惑もいいところだし、事故を起こすだけです。
でも、誰もいない場所で教えてもらって、練習すれば乗れるようになります。

勉強に例えたほうがわかりやすいかもしれません。
小学二年生程度の学力しかない人が、中学の授業を聞いてもわからないでしょう。
質問すること自体がわからない、という状態だと思います。
授業を聞いても時間の無駄です。皆と離れて、一人だけ小学二年生のところから始めたら、時間はかかっても、いつか皆に追い付くこともできます。

勉強は、やる気があれば（経済的な理由は別として）、塾へ行くなり、先生や友だちに個人授業を頼めば、また独学でも、参考書や問題集があればできます。

でも、"心"というものは、はっきり形がないもので、目に見えません。
人間関係をほとんど知らないまま、世間の人と話すのは、先に書いた、小学二年生の学力しかないのに、中学の授業を聞いているみたいな感じでした。
話したくても話しようがない。（質問したくても、質問すること自体がわからないのと同じ感じです）
周囲から見れば「どうして何もしゃべらないのだろう」と思われていたかもしれませんが、自分にとっては「どうしてあんなに、次から次へと言葉が出てくるのだろう」と思っていました。

毎日、テスト勉強のための一夜漬け、といった感じで、その場は何とか迷惑かけないよう仕事をこなしても（テストでそこそこの点数は取れても）、本当の人間関係や話し方など、いつまでたっても何も身につかないままです。
家に帰っても、その日の疲れを癒すだけで精一杯です。
でも、話せなくても、皆の話を聞いているだけでも、わかったことがありました。