ひきこもり ―自分の場合― その2 [ひきこもり 2]
当時、一番つらいのは話せないことでした。学生時代から自分で自覚していて、それなりに悩んでもいましたが、何を話したらいいのかわからなくて、すぐに沈黙してしまい、友達といるのも気まずくなってしまいます。
話せなくても、授業さえ聞いていれば、学校生活で困ることはそんなにありませんでした。いじめとかもなかったし。どうすればいいのかわからないまま、何もなく過ぎてしまいました。
でも、社会に出れば「話せない」じゃすまないのです。そう思うとパニックになって、仕事に行くだけで涙が出てきます。
話せないだけでなく、周囲の話を聞いてもほとんど理解できないのです。
例えて言うなら新幹線に乗っているみたいなものです。景色が何か赤いものが見えたけど、はっきりとわからない。次々いろいろな景色が目に入っても、全部素通りして、頭の中には何も残っていない。一日終わってもふらふらで、何とか迷惑かけないで終わった、というそれだけ。
毎日が、何ていうのか言葉の通じない外国にたった一人でいるみたいな感じでした。
職場は悪い雰囲気でなかったし、嫌な人もそんなにいなかったので、一年、二年・・・とやってこれて、四年目ぐらいに、少しずつ考えたりする余裕も出てきました。いったいどうして、自分は他の人と同じようにできないのだろう。いつからこうなったのだろう。
そうして、自分でも無意識に封印していた記憶が少しずつよみがえってきたのです。
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