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絵本 覚え書 その4 [本(絵本)]

6月になって、いつの間にか季節は夏になりました。

以前読んだ絵本の紹介です。
今回は戦争が入っていて、今の時期にも合いそうな、深くて、考えさせられる絵本です。


「ながいながい旅」   
絵 イロン・ヴィークランド   文 ローラ・ラーゲルクランツ   訳 石井登志子

ながいながい旅: エストニアからのがれた少女 (大型絵本)

ながいながい旅: エストニアからのがれた少女 (大型絵本)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/05/28
  • メディア: 大型本


これを読んだのは1年半ほど前なのだが、図書館で見つけてタイトルが気になった。表紙絵も良いし、”エストニアからのがれた少女”という副題に興味を持った。

内容を知らなくて読んだので、はらはらして心に残った。主人公の女の子と一緒に感情移入できる。(でも、すごく良かったので、以下、話を結構書いています。)



女の子が戦争から逃れて、田舎のおばあちゃんの家へ行くところから始まる。大好きな犬と一緒で、女の子の生活が描かれる。
つらいこともあって、女の子は、これからはぜったいにうれしい気もちにはなれないとおもいました。という文がある。戦争の最中でも学校へ行かなければならなく、友だちとすごす生き生きした時間も描かれる。

最初に読んだ時は、「陸の上にふたたび足で立てることも、戦争のない国にいることも、なんてしあわせなことでしょう。」という文章が心に残ったのだが、今読むと、先の文との対比もあって、終わりの方に出てくる「ところで、イロンが心からうれしい気もちになれることが、ふたたびあったでしょうか?ええ、何度もありました。」という文章。(「女の子」から、途中、名前の「イロン」に変わっているのも、心の成長を表現しているみたいに思える。)

こわいことは、ベッドで横になること。その時には、どんなにさみしいかがわかるからです。というところも共感する。

タイトルは戦争もだけど、人生にも思えた。
戦争をしたり、つらいことがあるから生きていけないのではなく、現代は人と心のつながりを持ちにくいから生きにくい、ということを改めて思ってしまった。


絵もきれいで良かった。(作家リンドグレーンの挿絵画家でイロン・ヴィークランドさんの自伝的絵本だった。)やさしい生き生きした絵と、暗い色調の絵のコントラストも良くて、これも人生そのものを表しているようだった。

絵本だけど、見ごたえ、読みごたえがありました。(なのに、アマゾンに新品がないなんて?!)



「おとうさんのちず」   ユリ・シュルヴィッツ 作   さくまゆみこ 訳

おとうさんのちず

おとうさんのちず

  • 出版社/メーカー: あすなろ書房
  • 発売日: 2009/05/01
  • メディア: ハードカバー

「よあけ」で有名なユリ・シュルヴィッツさんの自伝的絵本。

戦争から逃げてたどり着いた東の国。土を固めた床の上で眠る毎日。食料も足りない。

そんなある日、おとうさんはパンの代わりに地図を買ってきた。お金がなく、お腹を満たすパンは買えなかったのだ。
でも、地図は”ぼく”の空想をめぐらせ、想像力を育み、生きる力になった。

一時の慰めより、継続的な力になるものを与えてくれたおとうさん。
どんな状況でも、自分の心次第で楽しみを見つけられることを教えてくれる。

絵も色彩豊かで、楽しめます。
内容通り、印象に残る絵本です。



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