SSブログ

「反省させると犯罪者になります」 岡本茂樹 著 [本(新書/心理・教育)]

最近、自分の心情と重なる部分があって、また「こころ」に関する本です。

これは以前からタイトルに興味を持っていました。
ちょっと過激なタイトルだが、本書を読むとあながち大げさでないのが納得させられました。
いろいろ考えさせられる本でした。

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

反省させると犯罪者になります (新潮新書)

  • 作者: 岡本 茂樹
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/05/17
  • メディア: 単行本


自分の経験からも反省というのはあまり意味がないと思っている。
世間で何か事件が起こったら「反省していない」とか報じられるが、そんな気があるなら最初から事件なんて起こさないと思う。
昔だったら大したことないようなことでも、謝罪させられるのが気の毒に思えることもある。

第1章で「それは本当に反省ですか?」として著者の経験が書かれている。
車の接触事故を起こした時のことだが、直後の本音は自分への言い訳や後悔でいっぱいだったという話だ。
他にも具体例があるが、その立場になれば、最初は「反省する」ということから程遠いのが納得できる。

学校などで反省文を書かせるのは、本音を抑圧させて問題を先送りさせるという。
自分の学校時代は、わりと話を聞いてもらえる雰囲気があって、結構当たり前のことが書かれているが、現代は「常識」でなくなりつつあるのが怖い。

反省を求めすぎたら、その技術が上手くなるだけで、自分の内面と向き合う機会を奪われる。
世間向けの弱かったとか甘かったというのではない。親に対する不満や寂しさ、孤独といった本音から本当の問題が見えてくる。
否定的感情を吐き出すことによって、真の反省ができるようになる。

被害者の心情を考えさせるより、先ず加害者の視点で考えさせるというのが、説得力がありました。

でも、今の刑務所や懲罰のあり方は構造的には同じで、真の反省や更生(更正ではない)からは程遠い。本音や感情を抑圧して、刑務官の言うまま「まじめに務める」方が評価される。
否定的感情はますます大きなものになって、再犯を起こす可能性を孕む。
つまるところは人間関係だ。人とうまくつきあえず(自分の感情が出せず)孤立するからだという。

犯罪の前の段階から、問題行動を叱るばかりで原因や背景を考えたりしないから、(本当の犯罪へ)発展していく。
最初から良い人間関係を持てなかった(知らない)からというのであれば、大人(親)の責任だと思う。(でも、その親もそう教えられて育ったのだ)。

受刑者の心情や刑務所の内情などが知れたのは勉強になりました。

第5章では「我が子と自分を犯罪者にしないために」というのが書かれている。
現代は人間関係が希薄で、忘れていたことを思い出せて良かったです。(否定的感情が出せなかった過去の自分の生きづらさそのままだ)

多くの人に読んでほしい本です。






nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。