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最近の読書 2014年冬 ―覚え書― [本(小説)]

ちょっとまた、以前から気になっていた、子ども向けの本を読みました。


「クローディアの秘密」   E.L.カニグズバーグ 作   松永ふみ子 訳   岩波少年文庫

図書館や検索でよく目にするので、読んでみました。

クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))

クローディアの秘密 (岩波少年文庫 (050))

  • 作者: E.L.カニグズバーグ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/06/16
  • メディア: 単行本


40年以上前の作品ですが、新鮮で独創的な感じの話に、大人でも満足できました。(今まで読んでいないのがちょっともったいなかった)
狭い範囲の中で、こんなにおもしろい物語ができることに感心しました。


少女クローディア(ほぼ12歳)は弟のジェイミー(9歳)を誘って家出をします。行き先はニューヨークのメトロポリタン美術館。
長女で下に三人の弟がいて、自分だけしなければいけない仕事の不公平さや優等生でいることの毎日にあきあきしたのです。
クローディアは美術館が最近買い入れたという天使の小像に興味を持ちます。ミケランジェロの作品とされる、その真偽の謎を二人は解こうとします。


家出の行き先が美術館という発想に意表を突かれました。
クローディアは計画を立てるのが得意で、家出にジェイミーを引き込むところやお稽古のバイオリンケースに着替えを入れたり、くずかごから切符を見つけたりするところなど、準備段階からわくわくします。 

クローディアとジェイミーは性格が反対でお互いないものを補える関係で、会話がおもしろいのも見どころ。終わり近くまでほとんど二人のやりとりだけだが、全然退屈しない。

「クローディアの秘密」というタイトルのことを忘れていたのですが、終わりの方で出てきて、思いがけないものがテーマになっているのがすごく新鮮でした。(どうしてこのタイトルなのか不思議だった)。
大人の自分には、フランクワイラー夫人との話や言葉が心に残りました。

夫人の言葉は心に響くものがいくつかありましたが、これは書き出しておきたいです。

日によってはうんと勉強しなくちゃいけないわ。でも、日によってはもう内側にはいっているものをたっぷりふくらませて、何にでも触れさせるという日もなくちゃいけないわ。そしてからだの中で感じるのよ。ときにはゆっくり時間をかけて、そうなるのを待ってやらないと、いろんな知識がむやみに積み重なって、からだの中でガタガタさわぎだすでしょうよ。そんな知識では、雑音をだすことはできても、それでほんとうにものを感ずることはできやしないのよ。中身はからっぽなのよ。




「山賊のむすめローニャ」
アストリッド・リンドグレーン 作   大塚勇三 訳   岩波少年文庫

アニメの原作で興味を持ちました。
タイトルから「小さなバイキングビッケ」みたいな冒険的でエンタメ性がある話だと思っていたが、予想とかなり違っていました。(途中から「ロミオとジュリエット」を連想した)。

山賊のむすめローニャ (岩波少年文庫)

山賊のむすめローニャ (岩波少年文庫)

  • 作者: アストリッド リンドグレーン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/10/18
  • メディア: 単行本



物語は主人公ローニャが生まれた時から始まります。ローニャは山賊の頭マッティスの一人娘。
成長したローニャは森で暮らすというのがどんなことか覚えるため、一人で森に出されます。

ある日、ローニャは自分たちの城で、一人の男の子ビルクに出会います。彼は敵対するボルカ山賊の息子でした。落雷で真っ二つになった城の裂け目の向こう側に彼らが引っ越してきたということでした。
ローニャは猛反発しますが、ビルクが足をすべらせて、裂け目のすき間に落ちた時、彼女は助けます。
それから森で出会ったり、雪の中から今度はローニャがビルクに助けてもらう内に、ビルクのきょうだいになりたいと思います。
でも、親同士は争っていて、ある日、マッティスはビルクを捕らえてしまいました。
その時、ローニャがしたことは・・・

「ロミオとジュリエット」もですが、テーマはローニャが(ビルクも)父から独立して、一人の人間として成長する、生き方を選ぶ話に思えました。
人間の根本の感情、愛と憎しみがストレートに描かれていて、子どもが体験できるのがいい。
ビルクに対する細やかな気持ちやマッティスに対する葛藤は読ませます。
「はてしない争い」と「なくなったナイフ」の話が特に好きです。

森の風景描写やローニャがそこで親しんでいく様子にもわくわくします。
鳥女や灰色小人などがいて、ファンタジー要素が入っているのもおもしろい。(挿絵も良くて想像が膨らんだ)。

山賊がいっぱいいるのに、スカッレ・ペールぐらいしかローニャと絡みがなかったのが、ちょっとさみしかった。

アニメは(BSなので)まだ観られないが、背景美術が楽しみです。


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でんさん

あけましておめでとうございます(^-^)
今年もよろしくお願いします。
by でんさん (2015-01-01 20:39) 

オリーブ

でんさん、nice! ありがとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
by オリーブ (2015-01-02 11:43) 

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