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「フィンランド 豊かさのメソッド」 堀内都喜子 著 [本(新書/その他)]

ちょっといつもと違う本を読みました。
この手の本を読むのは20年ぶりぐらいでしょうか。

フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453))

フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書 (0453))

  • 作者: 堀内 都喜子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/07/17
  • メディア: 新書


フィンランドは、私が小学生の頃、あこがれの国でした。"森と湖の国"と言われていることや、白夜やオーロラといったものにひかれていました。
近年は学力世界一で有名になったり、福祉が充実していることでも興味を持っていました。

タイトルに"メソッド"とあって、わりと専門的な本かと思っていましたが、留学などで5年間フィンランドで生活した著者の体験をもとに、その国の素顔が語られています。
読み物としてもおもしろく、フィンランド入門書としてぴったりでした。
誤解していたり、新たに知ることが多くて、すごく勉強になりました。

基本的なことで、日本より面積が小さいことを誤解していました。(地図の図法の関係で高緯度地方は、大きくなることがわかっていたが、まさか小さいなんて)。
文化の違いもおもしろかったです。

知りたかったことの一つは、やっぱり教育システム。学力世界一というのはうなずけるものでした。

教師の質が高い。(著者が留学した大学の小学校教員養成学部の合格率は1割以下だという)。
受験や資格試験といったものがなく、リラックスした雰囲気で勉強に取り組める。
出身校の名前や偏差値は重要でなく、どこで何を勉強したか中身が重視される。
勉強と仕事が強く結び付いて、やり直しがきく社会や環境がある。

学力が高いといっても、それは出来ない子を作らないようにする教育から、レベルが底上げされていることらしい。
授業は柔軟性があって選択授業も多い。読解力や文章力を高める教育がされていて、試験は基本的に論述式。(フィンランドは図書館の利用率が世界一で、国民の8割が図書館に足を運ぶそうだ)。

小学校から、知識よりも勉強の楽しみ方を教えるような授業や、個人のペースが大切にされるフィンランドの教育は、自分で考える力が、精神的な自立心が育つのは不思議でないと思わせるものでした。(政治がクリーンなのも教育のおかげ?)


仕事は効率優先で、無駄な労働力はなく、人が少ない。(会議も単刀直入に本題に入り、各自の意見をストレートに述べて、その場で決定)。
それゆえ失業率も高く、リストラの不安がつきまとうので、皆、自分の能力を高めることに意欲的だ。成人の半数近くが職業関連の訓練や教育を受けているそうだ。(これも個人の事情に合わせて柔軟性がある)

仕事は残業がほとんどなく、平均的な勤務時間は朝8時から午後4時まで。(有給休暇は消化義務があって、夏休みも1ヶ月以上が当たり前)
その後は趣味に没頭したり、家族と時間を過ごすのだという。これなら、男性が家事や育児の時間がとれるのもうなずける。

一番驚いたのは、家まで自分たちでリフォームしたり、建てたりすること。お金の節約になるからだそうだが、自分が努力した分、そのまま成果にあらわれるのでやりがいがあるという。
IT化が進んで効率が優先しても、精神的な豊かさが見えるようだ。

それから北欧と言えば福祉が充実していること。子どもが17歳になるまで、毎月一定の養育手当が支給される。
大学の授業料は無料。医療費も安い。(でも、医師不足で、ひどくなってからでないと診てもらえないというのは問題。それゆえ自己管理力もまた高まるのでは?)


フィンランドはタイトル通り、"豊かな国"という印象でした。(人口が少ないから出来ることもあって、教育は日本の地方にも応用できないか?)
ゆったりして、仕事も人生も楽しめる。
一方で、これだったら日本の方がいいと思うことや(自立しすぎなゆえの?)問題もあって、より日本の社会が見えてくるようでした。
労働環境の違いや女性の社会進出については考えさせられました。(日本はまず、(男性の)労働時間を減らすことの方が先決なのでは?)










 


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