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最近の読書 2024年夏 その3 ―覚え書― [本(小説)]

毎日暑い日が続きます。

最近の読書、こんな時期に余計、暑苦しくなりそうな(?)本です。

ユーチューブで芸術系の動画を見ていて、オペラに興味を持ちました。
オペラというと、やっぱり「カルメン」で(音楽もなじみがあるし)、原作を読みたくなりました。

カルメン (新潮文庫)

カルメン (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1972/05/23
  • メディア: 文庫

カルメン/タマンゴ (光文社古典新訳文庫)

カルメン/タマンゴ (光文社古典新訳文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2020/04/24
  • メディア: Kindle版



「カルメン」

読んでみて驚いた。120ページもない中編小説だったのだ。
しかも話は、考古学の調査に来ていた”私”がドン・ホセに出会うところから始まる。”私”はカルメンとも出会い、その後、刑に処されるドン・ホセから彼の身の上話を聞かされる形になっている。

ドン・ホセが真面目で純朴な青年というのも、勘違いをしていた。(もっと強いタイプという先入観があった)
カルメンもドン・ホセを誘惑するというより、自分は悪魔だから関わってはいけないと言っていたのだ。

ドラマチックな物語を期待していたのが、淡々とした描写で、ちょっと肩すかしだった。

でも、当時の時代背景みたいなものを知ることができたのは、興味深かった。
山賊かもしれないが、自分と一緒に食事をしたり、煙草をくゆらしたほどの者なら、何も恐れる必要はない、と信じきれる”私”と、ドン・ホセとのやりとりもドラマになっているのに、気付いた。
ドン・ホセも旅人である”私”に身の上話をするのだ。

(オペラとは)イメージが違う原作を読めて良かったです。



「タマンゴ」

新潮文庫版を読んだ時、「タマンゴ」の方が印象に残った。
話の舞台が奴隷船で、白人と黒人、虐げられた者(奴隷)がいたら、こんな惨劇が起きても不思議でない、と思わせる筋立ての話が、現代と重なった。

という感想を持たせた(?)のがすごいと思った。



「マテオ・ファルコネ」


これも印象に残った。
何でもないすれ違いから、悲劇が起こる。(こういう時代だったのか)

少年と男のやりとりが、ひきこまれる。
後で調べると、たったの25ページだったのに驚いた。構成力がすごいと思った。



他に「オーバン神父」「エトリュスクの壺」「アルセーヌ・ギヨ」

後の三編は、少し趣が違っていた。(作者のメリメがフランスの作家だった。「カルメン」や「タマンゴ」の異国のイメージが強くて、スペインの作家のように錯覚していた。)

恋愛もので、それほど好みではないが、当時の社交界の雰囲気に浸れたし、会話は興味深かった。



新潮文庫を読んでから、光文社古典新訳文庫を読んだ。
(こちらは「タマンゴ」「カルメン」の二編だけだが)

読みやすくて(話を知っているし)四分の一ぐらいのペースで読めた。
「タマンゴ」新潮版で読んだ時、少しわかりにくいところもあったが、話の流れがすごくわかった。

でも、当時の社会背景や雰囲気などは、新潮版の方が伝わってくる感じだ。(「カルメン」を最初の方、読んでいた時、タイムスリップしていたような感覚だったので)


原作だけで長くなってしまった。
オペラの方は、気が向けば書こうかと思います。

ちなみにこんな本で予習(?)をしました。


ビゼー・カルメン (オペラ対訳ライブラリー)

ビゼー・カルメン (オペラ対訳ライブラリー)

  • 出版社/メーカー: 音楽之友社
  • 発売日: 2000/11/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

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