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最近の読書 2021年冬 ―覚え書― [本(小説)]

今年最初の記事は読書です。
最近、古典文学に挑戦していますが、今回はトルストイの名作「アンナ・カレーニナ」をこの年齢になって、ようやく読みました。
この時期に読めて良かった、今の時代に合っているのでは?とも思える小説でした。


「アンナ・カレーニナ」   トルストイ   木村浩 訳   新潮文庫

アンナ・カレーニナ(上) (新潮文庫)

アンナ・カレーニナ(上) (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/3
  • メディア: 文庫


アンナ・カレーニナ〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

アンナ・カレーニナ〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/07/10
  • メディア: 文庫



「アンナ・カレーニナ」は昔、漫画で読んで、アンナとヴロンスキー、キチイとリョーヴィンの二組の恋の話で、アンナが不倫の恋の果てに自殺するという、よくあるメロドラマ、ぐらいのイメージしかなかった。

不倫する女性の心理はあまり理解できないが、それで自殺までしてしまう心理を知りたくて、読んでみようかと思ったのでした。長編だけど昔読んだ「風と共に去りぬ」も5冊だったし、恋愛話だから読みやすいのでは?と思ったのでした。

全然違った。深すぎる小説だった。

タイトルにもあるし、アンナの話だと思っていたが、官僚のカレーニン夫人であるアンナと地方地主リョーヴィンが主人公で、二人の愛(家庭)が描かれる。(個人的には、リョーヴィンの描写の方が残っている気がした。)

心理描写、情景描写の細かさが半端でない。当時のロシアの社交界や、リョーヴィンの考える農業経営、社会の議論などは、難しくて自分の頭ではほとんど消化できなかった。
人生そのものがテーマの話として読んだ。

感想も人物の心理が深すぎて、部分でしか書けないが、印象に残っているのはキチイとリョーヴィンの話。
キチイがヴロンスキーとの失意から、外国の療養先での人たちとの出会いで立ち直っていく、内面が変化して悟るところ。
リョーヴィンも同じく、失恋して自分の生き方や人生について考えるところ。

リョーヴィンの兄ニコライの瀕死状態での心理や、それを見守る、リョーヴィンやキチイの心情。

リョーヴィンが自分の子どもが生まれた時の気持ちが、必ずしもテレビなどで見たような感動的なものでもないところ。
アンナが、どんなに努力してもヴロンスキーとの子どもを好きになれず、愛しているふりをすることもできなかったところなど、書ききれない。

読むきっかけになった、アンナの死に至るまでの心理描写は、これだけで読む価値があるぐらいだった。

登場人物も多く、人間の心について、人生そのものについて、(時代は違っても)本質的なものは同じことを考えさせられた。(体験できるような小説だった。)


自分は図書館で借りて、5ヶ月かかって読んだが、手元に置いて読み込みたいと思う小説でした。(映画や舞台では描き切れない、何倍も残るものがあると思います。)
長編で手に取るのはためらいますが、家庭小説にも読めて、感情移入しやすいと思うので、時間はかかっても、一生の間に読んだ方がいいと思う小説でした。




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